西尾維新『刀語 第一話 絶刀・鉋』(講談社BOX文庫 2007)

 二巻からというのもアレなので、少し前に読んだ一巻のメモも。

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)

刀語 第一話 絶刀・鉋 (講談社BOX)


西尾維新の時代活劇十二ヶ月連続刊行プロジェクト第一弾。
"対戦格刀剣花絵巻。剣劇活劇時代劇。刀語の、はじまりはじまり♪"

 西尾維新を読んだのは久しぶりだったけど、なんというかやはりというか、おかしいというからしいというか、読みにくいようで読みやすい、そんな感じの本だった。現時点で西尾維新の著作は戯言シリーズとその関連作品の一部しか読んでいないのだが、そちらと比べると内容は軽め。講談社ノベルスは二段組みだったがこちらは一段、パラパラめくってみても誌面にスペースが多めなのが分かる。十二ヶ月連続で刊行された作品ということなので、一冊の分量としてはこんなものだろうか。しばらく読書から遠ざかっていた自分がゆっくり読んでも一時間半ほどでサクッと終わり、今の自分には丁度良い分量だった。ただ分量の割には少々値段が高め。BOX文庫は装丁に金かけ過ぎなのではなかろうか?そうでもないか。他のBOX文庫作品と比較してもこのシリーズは高いみたいだ。講談社ァ……

 軽めとは言ったものの、いつもどおりのおかしさはもちろん健在。変な名前、変な設定、変なキャラ。なのに面白いから西尾維新はすごいと思う。変だけど面白いのか変だから面白いのか面白いけど変なのか面白いから変なのか。メタな表現も多く、本文中に「必殺技の詳細は来月以降のお楽しみ」だとか「この忍者は第一話で主人公にやられる為だけに登場した噛ませ犬では、もちろんない」とかそんな感じ。変だなあ。第一巻ということで主に設定周りの説明が多めで、盛り上がりはやや控えめ。でもとがめちゃんが可愛かったので問題無い。二巻以降の盛り上がりに期待する。

 概要はというと、主人公である虚刀流(剣を使わない剣術の流派。変だ)の現当主・鑢七花が奇策士・とがめ(ノリツッコミが可愛い)にそそのかされて、伝説の刀鍛冶・四季崎記紀が作った十二本の"刀"を蒐集するために旅に出るというお話。十二話完結ということで、一話に一本の刀が出てきて、その刀を手に入れるために毎回敵をぶっ殺すらしい。しかし第一話では旅はお預け、戦場となるのは主人公とその姉しか住んでないほぼ無人島・不承島。ご丁寧に敵さんが訪ねてきてくれるのは初回サービスか。今回の敵である忍者・真庭蝙蝠も色々と変だった。でもなかなか良いキャラだったね。出てくる刀はタイトルの通り、絶刀・鉋。表紙でとがめちゃんが持ってる反りのない長刀。とにもかくにも非常に固く、とにかく絶対折れないらしい。さすがの鉋、百人乗っても大丈夫。

 読み終えても結局、虚刀流というものがなんだかよく分からない。そしてとがめちゃんがかわいい。あとお姉ちゃんもかわいい。とがめちゃんには色々あるようだし、残りの刀も謎だらけ。まあ謎とか謎でないこととかその辺は追々明らかになっていくんだろうね。とりあえず気になるので十二巻全部読みたいなと思ったわけです。これはアニメも見なくちゃな。