入間人間『電波女と青春男』(電撃文庫 2009)

 何度か名前を聞いたので1巻だけ手に取ってみた。

電波女と青春男 (電撃文庫)

電波女と青春男 (電撃文庫)

 ストーリーを軽くまとめてみよう。主人公の真は親の都合で田舎から都会の学校に転校、叔母さんのところに住まわせて貰うことになった。彼は青春ポイントを獲得すること、もとい女の子と触れ合って甘酸っぱい思い出を作るのにわりと必死である。新たな環境で始まる新学期に期待を膨らませつつ、ちょっと変な叔母さんの家へ向かう。玄関を開けるととちょっと以上に変な、上半身を布団でぐるぐる巻きにした女の子らしきものが転がっていた。彼女は自称宇宙人で、どうも地球は狙われているらしい。その電波娘に振り回されつつ、学校でわりと可愛い女の子と親しくなれちゃったりもして青春ポイントは減ったり増えたり、まあそんな感じ。なんか最後の方投げやりだけどまあでも多分そんな感じ。

 入間人間の作品を読んだのはこれが初めて。人を選ぶ文章だとは聞いていたんだけども、残念ながら僕には合わないようだった。主人公の一人称でとにかく余計な話が多く、非常に冗長な印象。ハルヒとかもこんな感じだった気がするけど、あれは普通に読めたんだけどなあ。*1

 内容に関しては、厚さの割にちょっと薄すぎると感じた。最後にちょろっと話が動くだけで、3分の2くらいはほのぼのドタバタな日常の垂れ流し。文章の冗長さもあって読み進めるのが苦痛だった。話が動くところもちょっと唐突な印象があって、もう少し導入を丁寧にしたほうが良いのではないかと思う。日常シーンは無駄に長いのに、ヒロインが自分の問題にどう向き合ってるのか向き合ってないのか、主人公がそれをどう思ってるのかどうしたいのか、ってところは記述が薄い。そのせいか主人公の苛立ちにもいまいち共感できなかった。

 キャラクターは可愛い。メインヒロインでありタイトルにある電波女であるところのエリオは、電波だけどウザくなくてよかった。感情薄めだしあんまり喋らないからかもしれない。なんか美少女が布団被ってもぞもぞ動いてるとこ想像したら萌える。現実にいたら見なかったことにするけどな。ラノベのぶっとんだ変人はウザくない限りわりと好き。クラスメイトのリュウコも前川さんも、叔母さんも可愛かったのではないかと。あとイラストは素晴らしい。

 でも続きは多分読まない。この人の別作品の『嘘つきみーちゃん〜』は若干気になるので手を出してみるかもしれない。自分は平凡な日常シーンが垂れ流されてキャラの掛け合いを楽しむタイプの作品はどうも好きになれないようだ。そんな毒にも薬にもならない日常シーンをラノベで読むくらいだったらエロゲをやる。最近多いギャルゲみたいなラノベに興味が沸かないのは多分そういうことだ。

*1:あれも1巻だけしか読んだことはないんだけども